FXの強制決済の言葉の意味
強制決済の言葉の意味はFX会社のシステムによりすべてのポジション(通貨を「買っている」または「売っている」状態)が強制決済されてしまうことを指します。
具体例
具体的に強制ロスカットは、FX会社が定める証拠金維持率を下回った場合に執行されます。証拠金維持率とは、口座精算価値に占めるポジションを維持するために必要な証拠金の割合を指します。
ロスカットされる証拠金維持率はFX会社によって異なるため、口座開設時によく確認しておくことが重要になります。
また、ロスカットという言葉は損切と混同されることがあります。しかし、FXトレーダーがロスカットという場合、FX会社にポジションを強制決済されることを指すことが一般的です。損切はトレーダー自身が自分の定めたルールによって、含み損を抱えた状態で決済を実行し、損失を確定させることを指します。
ロスカットの目的は投資家の保護
強制ロスカットが執行される理由は、投資家の保護です。相場が急変して含み損が大きくなっても気づかず、そのままポジションを保有し続けた場合、さらに大きな損失を計上してしまう可能性があります。
自己資金に対して損失の金額が一定以上大きくなることがないよう、ロスカットによって取引が強制終了されるような仕組みになっています。
強制ロスカットへの対策や回避する方法は?
強制ロスカットの話を聞くとFX取引が怖くなるかもしれませんが、ロスカットのリスクは抑えることができます。本記事では、ロスカットを回避するための代表的な方法を3つご紹介します。
1. レバレッジを低くする
1つ目は、レバレッジを低くすることです。基本的にレバレッジをかければかけるほど証拠金維持率は下がり、ロスカットの危険性が高まります。そのため、重要なのは「レバレッジをかけすぎない」ことなのです。
例えば、10万円に2倍のレバレッジをかけて20万円の取引をしていた場合、資産残高は10万円、必要証拠金は8000円(20万円×4%)です。このとき、証拠金維持率は1250%<(10万円÷8000円×100 = 1250)となります。
仮にFX会社が定めるロスカットルールが証拠金維持率100%だとしても、ずいぶん余裕があることが分かります。
ところが、10万円に10倍のレバレッジをかけて、100万円の取引をしていた場合、資産残高は10万円、必要証拠金は4万円(100万円×4%)となり、証拠金維持率は250%(10万円÷4万円×100 = 250)となります。先ほどと比べると、ロスカットに近づいたことが分かります。
レバレッジを低くすれば、必然的に値動きによるロスカットのリスクは下がります。初心者なら、まずは2倍程度のレバレッジから取引を始めることが望ましいといえます。
FX初心者は低いレバレッジから取引を始めることをおすすめします。比較的大きな利益は得にくくなりますが、その代わり大きな損失を出すリスクを抑えることが可能です。初心者の方は大きな利益を狙うのではなく、まずはFXの取引に慣れることが大切です。レバレッジを5倍、高くても10倍程度の範囲で取引をすることをおすすめします。
引用元:外為どっとコム
2. スキャルピングを利用する
ロスカットのリスクを下げることができる取引の手法にスキャルピングがあります。
スキャルピングとは、たった数秒から数分間のうちに取引を行い、それを繰り返すことで利益を得る取引法です。短期間での取引のため、利益は薄くなりますが、その分大幅な損失のリスクも低くなります。
このようにスキャルピングであれば大幅な損失を受けるリスクを低くすることができるため、強制ロスカットを避けることのできる手段の一つと言えるでしょう。
3. 損切ルールを作る
3つ目に、損切ルールを作ることです。損切ルールを設けることもロスカットを防ぐことに繋がります。
FXでは、「もう少し待てば値上がりするはずだ」「今決済すると損失が確定するから、あと少し様子見をしよう」といった判断によって、より大きな損失を計上してしまうことがありますよね。人間は「損をしたくない」という気持ちが強く働くからこそ、こういったことが起こりがちです。
だからこそ、「ここまできたら絶対に決済する」という自分なりの判断基準として、損切ルールを設けておくことが大切なのです。損切ルールには、「含み損が〇万円に達したら損切」「含み損が残高に対して〇%になったら損切」などがあります。
また、少し慣れてきたら「直近の安値を下回ったら損切」など相場に合わせた損切ルールを設けるのもいいでしょう。テクニカル指標をもとに損切ルールを決めるトレーダーもいます。
大切なのは、損切ルールを厳格に守ることです。小さな取引でも厳格に損切ルールを守ることを徹底していれば、大きな金額が動く取引でも、冷静に損切の決断を下すことができます。
損切ルールを設けることは、「ロスカットが間に合わないパターン」を回避する方法としても効果的です。ロスカットは必ずしも瞬時に行われるものではありません。そこで、損切ルールを設けることで、ロスカットに頼らず自分自身でリスクコントロールができるようになります。
人間には「損失回避バイアス」といって、利益を得る喜びよりも損失を被る悲しみの方を大きく感じるため、なるべく損失を避けようとする傾向があります。しかし、それでも逃げずに損切りをすることで、致命傷となるダメージを負う前に自分の資産を守ることができるのです。
引用元:SBI FXトレード
証拠金維持率とは?計算式も紹介
FX会社は、強制ロスカットを証拠金維持率に基づいて行います。証拠金とは、FX取引を行うため担保にするお金のことです。
また、証拠金維持率とは、必要証拠金に対して資産残高がどのぐらいの割合を占めるかを表す指標のことです。計算式にすると、下記のようになります。
証拠金維持率 = 資産残高 ÷ 必要証拠金 × 100
ロスカットが執行される証拠金維持率は、FX会社によって異なります。代表的なFX会社とロスカットの対象となる証拠金維持率の割合は下記のとおりです。
証券会社 | 必要証拠金維持率 |
---|---|
GMOクリック証券 | 50% |
DMM FX | 50% |
ヒロセ通商 | 100% |
JFX | 100% |
トレイダース証券 | 100% |
外為どっとコム | 50~100% |
外為オンライン | 20~100% |
外為どっとコムでは、10%刻みでロスカットレベルを設定できます。外為オンラインでは、コースによってロスカットされる証拠金維持率が異なっています。
FXのロスカットで大損した事例
続いては、FXのロスカットで大損してしまったリアルな事例を紹介する。
本業でがんばり、30代で1000万円貯金したAさんの事例
本業でがんばり、30代で1000万円貯金したAさん。運用しないともったいないと考え始め、以前から興味のあったFXを始めることにした。最初はメジャー通貨を保有し、デイトレードで順調に利益をあげていた。
帰宅後にFXをするのが楽しみになり、有名トレーダーをSNSで多数フォローして情報収集するようになったAさんは、大胆な取引に憧れを抱くようになる。実際に、少しずつレバレッジをあげて取引をしたところ、成果がみるみる大きくなっていった。
気づけば貯金のほとんどをFXにつぎ込み、レバレッジをきかせて億単位の取引をするようになっていた。しかし、年末になり相場が急に荒れ始める。含み損を抱えつつ、何とか今を乗り切ろうと考えたAさんは強制ロスカットを防ぐため、追加証拠金を入金し、貯金はほとんどなくなってしまった。それでも、少しすれば相場が回復すると信じていた。
しかしその後、数日の間にあえなく強制ロスカットが執行され、数億円まで増えていた資産は、一気にマイナスに。ロスカットのおかげで借金を抱えることはなかったが、その後AさんはFXを続けることができなくなった。
金融系の仕事に就いていたBさんの事例
Bさんはもともと金融系の仕事をしていたが、ハードワークだったため転職することにした。前職の知識を生かしたいと考え、FXを始めた。知識を生かして慎重に取引を重ねたBさんは、デイトレードと長期投資を組み合わせて、順調に利益を出していた。
Bさんは、感情を交えず冷静に損切することの重要性を知っていた。しかし、取引に慣れてくると、自分の勘が正しいように思え、最初に決めた損切ルールを超えて取引することが増えてきた。
あるとき、相場の動きを見て、「これはいける」と確信したBさん。ポジションを保有し、最初は順調に値上がりしていたが、予期せぬ出来事で相場は値下がりに転じる。一時的なものだと信じて、Bさんは相場を見守ったが、回復せずにじわじわと含み損が増えていく。
ついにBさんが決めた損切ルールに達したが、Bさんはそれを無視してポジションの保有を続けた。金額が大きかったこともあり、食欲が失せ、仕事にも集中できない。同僚や友人に心配されるも、周りに打ち明けることはできなかった。
結局、そのままロスカットされ、Bさんはこれまで得ていた利益を一瞬で失ってしまった。
条件別でFX会社を比較
初心者は最低取引単位で選ぶ
FXの最低取引単位は会社によって異なり、取引単位が小さいと少額で取引することができます。
例
- 1通貨(ドル/円)→資金100円
- 10000通貨(ドル/円)→資金45000円
少額取引ならリスクなく、FXの実践経験を積むことができます。
そこで、初心者の方にはMATUI FXをお勧めします。
MATUI FXは1通貨単位から取引することができるFX会社です。
手数料(スプレッド)も業界最狭水準に設定されていて、FXを始める方におすすめです。
ロスカットを理解して節度のあるFX取引を
いかがでしたでしょうか。FXを始める際には、ロスカットの仕組みを理解し、節度をもって取引することが重要です。また、急な価格変動などでロスカットされてしまった場合にも、焦らず対応できるかできないかで、その後の取引への影響も違ってくるでしょう。もし実際にロスカットが起こった際も、原因を分析し次に活かせるようにしましょう。
- Q1.FXのロスカットとは?
- ロスカットとは、未確定(決済前)の損失である含み損が一定の水準に達したときに、ポジションを自動的に強制決済する仕組みのことです。
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- Q2.ロスカットの注意点とは?
- FX口座の証拠金維持率が100%以下になった場合にロスカットは執行されますが、
証拠金維持率が100%となる価格での約定や損失額を保証するものではないということです。
流動性の低下などにより、ロスカットのための決済注文が約定せずにさらに損失が拡大してしまうリスクがあり、預託された証拠金を上回る損失が発生する可能性もあります。
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記事の監修者及びコメントいただいた専門家
監修者・金子賢司(ファイナンシャルプランナー)
立教大学法学部卒業後、東証一部上場企業に入社。その後、保険業界に転身し、ファイナンシャルプランナー(FP)として活動を開始。FPの最上級資格CFP資格を取得し、個人・法人のお金に関する相談を受けながら、北海道のテレビ番組のコメンテーターなどとしても活動している。
■保有資格:CFP、住宅ローンアドバイザー、損保マスター
Twitter:@NICE4611
HP:ファイナンシャルプランナー(FP)金子賢司
コメントをいただいた専門家・鈴木 拓也(すずき たくや)
株式会社フィンテラス代表取締役
・日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
1987年生まれ。明治大学理工学部卒業、東京工業大学大学院修士課程修了後に、株式会社三井住友銀行に入行し、市場営業部門(東京本店)と香港支店にて為替ディーラー業務に従事。
金融投資教育のWebメディア事業を運営する株式会社フィンテラスを設立し、代表取締役に就任。公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
■保有資格: 日本証券アナリスト協会認定アナリスト
公式サイト:https://fx-megabank.com/
Twitter:https://twitter.com/Tya_FX_dealer
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